「太陽の塔」

dreamingjewels2006-05-29

太陽の塔
作者:森見登美彦
出版社:新潮社(新潮文庫
発表:2003年12月

フラれ男の主人公を中心にした、ぱっとしない京大生たちの青春群像。特筆すべきは抜群の語り口。椎名誠の青春小説にスタンスは近いのですが、むしろ、個人的には中島敦太宰治坂口安吾を思い起こさせる比喩表現の楽しさと語るリズムの心地よさがあります。(ラストの切なさを含め、連想したのは、太宰治の短編「ダス・ゲマイネ」。)正直いって、これほどの才能がこの程度の作品で受賞しているなんて物足らない、と次回作が気になる出来。なので、第1作としては作者の勝ちといえるでしょう。早速、第二作「四畳半神話大系」を読まなくては。
ちなみにこの太陽の塔、「第15回ファンタジーノベル大賞受賞作」ですがファンタジイ色は殆どありません。