「長い長い殺人」

dreamingjewels2006-05-09

長い長い殺人
作者:宮部みゆき
出版社:光文社(光文社文庫
発表:1997年5月

結婚した家内が宮部ファンということもあり、宮部みゆきさんをここのところ続けて読んでいます。高校時代に「火車」を読んで以来、この人の作品は上手い、読ませるという印象が強いのですが、今回もめくるページが止まらない面白さでした。

10個の財布が物語る連作短編集ですが、「財布が語る」という着想を膨らませ、財布の用途に合わせて喋り方まで変えて描こうなんて、技がないと出来ません。そして、いろいろな財布の持ち主がリンクして、背後の事件が浮き彫りになる―上手だよなあ。扱われる事件そのものはむしろ「よくある」と云って差し支えないでしょう。むしろ、それをどう語るか。宮部みゆきさんは、この「どう語るか」が、私にとって、何より楽しい作家なのです。通勤通学時に最適かもしれません。