「ノロイ」

dreamingjewels2006-05-08


レンタルDVDで観ました。

ノロイ
監督:白石晃士
脚本:白石晃士、横田直幸
出演:松本まりか白石晃士アンガールズ高樹マリア、ダンカン、飯島愛荒俣宏

◎芸術としては評価されにくい「ホラー映画」というジャンルですが、この「ノロイ」は非常によく出来た作品になっています。

・脚本に好印象
本作は、何を置いても脚本の勝利でしょう。消えた村の「土俗信仰」が現代に復活する、という比較的オーソドックスな題材を、飽きさせずに観せてくれます。これは、「ドキュメンタリー」というフレームを採用したから。ワイドショーやオカルト番組、超能力番組などの映像も挟みつつ、手を変え品を変えコラージュしながらの語りは観客を飽きさせません。不審な隣人・赤ん坊の泣き声・鳩・犬などの小道具も上手。理詰めに過ぎると感じる人もいそうですが、そもそもドキュメンタリーって理詰めですから、私には傷とは感じませんでした。
・頑張る演出
「ドキュメンタリー」というフレームを支える映像もいい感じ。例えば、放映されなかったバラエティは、時間経過を示す数値を入れていたり、ワイドショーの映像も荒れたものにしてみたりと、語り方にこだわってます。ドキュメンタリータッチを多様した監督・深作欣二ばりの手振れ映像も出てきます。
・傷は古文書か
唯一気になったのは、本編に登場する古文書。観客への配慮なのか、造りが読み易すぎるし分かり易すぎるんですね。もっと分かりづらくていい。それがリアリティってものでしょうに。ここまで人が死んで警察がぜんぜん出てこないのは不自然じゃないかとも思いましたが、そう気づいたのは観終わってからですから、それは私にとっては問題ないですね。観てるうちは騙されてたってことですから。
・楽しい力作
たしかに怖い映画なんですが、作り手が観客を怖がらせようと楽しんでる様が伝わってきて、むしろ爽快な気持ちでした。ぜんぜん違う映画ですが「悪魔のいけにえ」をトビー・フーパー監督が撮ってたときに近いかも。

◎なお、監督は白石晃士。「呪霊 THE MOVIE 黒呪霊」(2004)など、ホラーばかりを撮ってきた人です。これぞプロの仕事、オススメです。