「レナード現象には理由がある」

dreamingjewels2006-07-15

レナード現象には理由がある
作者:川原泉
出版社:白泉社
発行:2006年7月

80年代、少女マンガの頂点に立った作家・川原泉の最新刊。本当に久しぶりの短編集だが、”久しぶり”はそれだけじゃない。いったいいつ以来だろう?男女の情をテーマにした、作者お得意の学園ものなのです。せりふ回しも絵柄も絶妙で、着実に復活していることを感じさせるうまさに満ちてます。

これ一冊読むだけでも幸せでしたが、この後わたしは立て続けに「空の食欲魔人」「カレーの王子様」「甲子園の空に笑え!」も読み返しました。川原泉って、新刊が出るたびに昔の作品も読みたくなるんだよね…。読み返して思ったのは、今回の短編集、過去の作品をブラッシュアップした現代版なのかな、ということ。「月夜のドレス」「真実のツベルクリン反応」「3月革命」「不思議なマリナー」などの作品で描いた世界を、もっと今の川原泉的目線で語りなおした、といえば良いでしょうか。

などと、いろいろ思うことはあるわけですが、川原泉を知らない人にもお勧めできる、高品質の短編集なのは間違いありません。わたしは、末永い彼女の活躍を祈って新刊を待つばかりです。