「夢を与える」
綿矢りさを読むのは初めてです。
そういう、ファンでもない、ましていまだにSFやホラーやファンタジー小説ばかり読んでいる私でも、この作品が凄いことは分かりました。
文章が達者。人物造詣も上手い。タイトルも素晴らしい。「純文学だから」なんて色眼鏡で見ても、エンタメ小説としてレベルが高い。(個人的には、読み終えるまで続くどうしようもない焦燥感が素晴らしいと思いました。)
そして、ここまで質が高いからこそ、この作品の「毒」が活きてくる。この作品の痛烈な皮肉は、確かに今ある綿矢りさの立ち位置でこそ意味のあるものだろうと思う。
正直言って、この作家が怖いです。なにしろ、読み終えて思い出したのはC.L.ムーアの「美女ありき」*1と、ジェイムズ・ティプトリーJr.「接続された女」*2だもんなあ。(先日、「夢を与える」のサイン会で、綿矢りさに抱きつこうとしたおばかさんな男がいたんだとか。この作品読んだら、きっとそんなこと怖くてできなくなると思いますよ。)
賛否両論いろいろ出ている作品ですが、私は強く推します。いやほんと、凄いんだから。